あの子と、私。
何もかも上手くいかなくて、
すべてを投げ出してしまいたくなる日でも、
あの子の頬を、髪を、撫でることはできる。
胸の苦しくなるほどに憂鬱で、
溜め息のもれる日でも、
あの子をぎゅっと、抱きしめることはできる。
思わず涙のこぼれるような、
ひどく気持ちの塞ぐ日でも、
深呼吸をして、
あの子に大好きよって言うことはできる。
疲れ果てて倒れ込むように眠る日でも、
寝ているあの子のちいさなおでこに、
おやすみのキスをすることは、できる。
一緒にごはんを食べられない日には、
あの子が美味しそうにほおばる顔を
思い浮かべよう。
お散歩へ行けない日には、
帰って、あの子と二人、手をつなごう。
ほとんどお話を聴くことのできない日には、
何かひとつくらい、あの子の言葉に頷いて、
あの子の世界に感動しよう。
あの子が泣くとき隣で寄り添えない日には、
あの子の一等お気に入りの歌をうたおう。
あの子と、私。
今日も、明日も、たくさん笑おう。
あの子が笑えば、私も笑う。
私が笑えば、あの子も笑う。
ほら、おいでおいで。
野薔薇が咲いているよ。