ハルの哀しみ
ある、おやつどき。
ハルの大好きな甘栗をお皿に出すと、
そのままでは喉につかえそうな、少し心配になる大きさでした。
そこで、「半分に割ってから食べよう」と提案すると、
すんなり了承してくれたハル。
ところが、いざ割ったものを差し出すと、
突然大きな声で泣き出しました。
どうやら、思っていたよりずっと
栗がちいさくなってしまったことが哀しかったようです。
子どもの頃、取り返しがつかないということを
とても恐れていた私ですが、ハルにとっては、
初めての“こんなはずじゃなかった”という思いだったのかも知れません。
何気なくの振る舞いや、
善かれという気持ちからしたことでさえ、
望まぬ結果に繋がることがある人生。
ハルにはずっと幸せでいてほしいけれど、
甘栗を半分にしたら思いのほかちいさかった、
ということより哀しい出来事が、
きっとこの先、幾らでもあるから…。
ハルには、どうか、たくましく育ってもらいたいと思っています。