ハルの庭

三歳の娘との、毎日の暮らしを綴っています。

ハルの予防接種

 

長らく延期になっていた、ハルの予防接種。

先日、無事に受けることができました。

 

診てくださったのは、私が子どもの頃

お世話になっていたおじいちゃん先生のお嬢さん、

私の母と同じくらいのお歳の、聡明で優しい方です。

 

にもかかわらず、ハルはまたしても診察の段階から大泣きでした。

私にからだを向けてしがみつくので、背中はまだしも

お腹へ聴診器を当てるのが一苦労です。

口の中を診るに至っては、泣き過ぎてむせてしまう程。

見慣れぬ部屋で、見慣れぬ人と至近距離で向き合うことに、

ただならぬ雰囲気を感じるのでしょうか。

 

思えば、ハルを予防接種に連れて行き始めたばかりの頃は、

泣き叫ぶハルの様子を見ているのがあんまり辛くて、

毎回私まで泣きそうになっていました。

帰る道すがら、二人してできるだけ色々の花を見たり、

ちょうちょを眺めたり、鳥の声に耳を傾けたりしながら、

なんとかハルに楽しい心持ちになってもらおうと努めたものです。

 

ハルには、絶対の信頼を寄せる母親の私が

あの恐怖の場から救い出してくれないこと、

まして加担しているかのような状況が、

どのように認識されているのでしょう。

それを想像すると、もうそれだけで胸の痛む思いがするのです。

 

予防接種の前、ハルに理由を説明します。

「これから少しチクッとするけどね、

 これはハルにとってとても大切なことなのよ。

 お母さんがついてるからね、がんばろうね。」

 

そして終わったあとには、泣いているハルを

ぎゅっと強く抱きしめながら話します。

「痛かったね、驚いたね。何事かと思うよねえ。

 ハルはよくがんばったね、すごかった、すごかった。

 ハルが痛いのはお母さんもいやなのよ。

 でもねえ、こうして今がんばると、

 あとでハルが病気にならなくて済むの。

 お父さんとお母さんも、ハルくらいの頃には

 同じようにがんばったのよ。

 これでもう大丈夫、本当によくがんばったね。」

 

どれくらい伝わっているのかはわかりませんが、

時折私の言葉をなぞるように応えながら、腕のなかで静かにしているハル。

あんなに怖い思いをさせたのに、それでも私をすがる様が

本当にいとおしく、堪らないのです。

 

これから先、ハルのためだからと、試練に立ち向かうハルを

幾度となく見守ることになるのでしょう。

そんな、親としての試練が、どうやら早速始まっているようなのでした。

 

 

 

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