ハルの庭

三歳の娘との、毎日の暮らしを綴っています。

『魔女の宅急便』を観ました

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大好きな映画、『魔女の宅急便』を観ました。

スタジオジブリの作品は、ご多分に漏れず、

いずれも幼い頃から大のお気に入りで、

幾度繰り返して観たか思い出せない程です。

大人になってからはさすがに機会も減り、

特にハルが生まれてからは

あまり時間をとることができずにいましたが、

テレビで放映されると聴き、録画をして観ました。

 

作品の内容に触れますので、

まだ観たことのない方、これから観ようと

楽しみにしていらっしゃる方は、

読むのをよしていただいた方が良いかも知れません。

 

 

主人公は、キキという名の魔女見習いの少女です。

13歳になった彼女は、古い伝統に従って

故郷を離れ、誰も自分を知る人のいない街で

一人前の魔女になるために修行の日々を過ごすことになります。

 

原作は、角野 栄子さんの書かれた同名の児童文学です。

美しい映像、魅力的な登場人物、

力強く豊かな物語や、素晴らしい声優陣など、

作品の詳細は、すでに多くの方が語っていらっしゃるので

この場では割愛させていただきますが、

これは私にとって、「自立と葛藤」の大切な物語です。

 

はつらつとして可愛らしいキキは、

新しい暮らしへの期待に胸を膨らませ、

家族や友人に見送られながら出発します。

そうして、魔女が住んでいないという条件のもと、

海辺の大きな街へと降り立ちました。

そこで彼女が出会ったのは、

どこかよそよそしい様子の人々。

元気いっぱいだったキキは、

早くも途方に暮れてしまいます・・・。

 

人生の様々な地点において、

常に新しい発見を与えてくれる、この素晴らしい映画。

なかでも今回とりわけ印象深かったのは、

キキが落ち込み、葛藤する姿でした。

 

初めて降り立つ街で、出会う人々に笑顔で挨拶をするも、

自分は歓迎されていないと感じて落ち込むキキ。

どしゃ降りの雨のなか精一杯届けたニシンのパイを、

「私、これ嫌いなのよね。」と言い放たれて呆然とするキキ。

魔法の力を失くした自分を肯定できず、焦るキキ・・・。

そうして、自分に好意を寄せてくれる友人を

拒絶してしまう姿に、はっとしました。

 

誰かを大切に思うこと、

優しく接すること、

誠意には誠意で返してもらえるものと信じて疑わず、

それだのに誠実に振る舞った言動が

いとも簡単に否定されてしまうことの哀しみ。

トンボからの電話を上の空で切るキキは、

紛れもなく、幼い頃の私自身であるように思われたのです。

 

そして不思議なことに、それ自体はけして哀しいことではなく、

むしろ、不器用な程の頑張りや、自分へのいらだち、葛藤は、

「こうせずにはおれない」という精一杯な生き方として、

とても魅力的なものに感じられました。

 

 

大人になった私は、

キキのように誰かの言葉に深く傷つくことや、

上手くいかないことに幾日も悩むようなことは

さほどないように思いませす

と言うよりも、そうしていてはいけないと

自分に言い聞かせながら日々を過ごしているのかもわかりません。

 

勿論、社会の中で求められる役割を果たすためには、

そうくよくよしてばかりいられません。

自分のことにかまけていられないのも本当です。

 

けれど大人だって、誰かの言動に哀しくなることもある。

自分に自信が持てなくて、人生に迷うこともある。

思い通りにいかなくて、ふてくされることだってあるし、

人の優しさを素直に受け入れられないことだってある、

そして、それでも別に良いのじゃないかしら。

映画を観終えた今、そんなふうに思うのです。

 

誰の中にも、13歳のちいさな魔女がいて、

一人前になろうともがき、葛藤している。

そんな時間のすべてが、かけがえのない程に尊く、

あるいは愛すべき人生そのものなのかも知れません・・・。

 

 

余談ですが、映画の終わりに流れる

荒井由実松任谷由実)さんの

やさしさに包まれたなら』という曲も、

とても素敵で大好きです。

 

「小さい頃は神様がいて

不思議に夢をかなえてくれた

やさしい気持で目覚めた朝は

おとなになっても 奇蹟はおこるよ」

 

この歌詞を聴くと、

ありったけのやさしさに包まれるようで涙が出ます。

 

 

たとえ格好わるくても構わない、

落ち込むこともあるけれど、

精一杯生きていこう。

久しぶりに観た『魔女の宅急便』は、

そんなふうに思わせてくれる素敵な映画でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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