ハルの庭

三歳の娘との、毎日の暮らしを綴っています。

ハルの庭

 

 

 

誰もが皆、心の内に自分だけの庭を持っている。


そこには色々の種が植わっていて、
綺麗に花の咲くものもあれば、
立派な木陰をつくるものもある。

なかには、やたらとあちらこちらに根を張って、
他を枯らしてしまうものもある。


時々、雨が降ったりもするし、風が吹いたりもする。
嵐が来ることだってあるか知れない。
あまり快く思わなかったようなものが土を耕し、
庭を豊かにしてくれたりもする。


大概のものにはそれぞれに役割があり、
あなたの庭は、あなただけのものだけれど、
けして孤独ではない。

 


厄介なことには、自分の庭が荒れて
居心地の悪いとき程、よその庭ばかりが気にかかる。

あれやこれやと口を出してみたり、
自分の思い通りにしようとさえ考えたりもする。


けれど、誰も彼もが自分の庭に立ち返るほかなく、
そしてまた、人それぞれに望む庭が違うのだということも
忘れてはいけない。

 


何もないような庭にも、
目をこらせば枝先にちいさな芽が膨らみ、
足元からは眠る種の吐息が聴こえる。


そこに営みのある限り、
また幾らだって庭は美しくなれる。

 

 


だから今は、種を蒔こう。
やわらかな土に、種を蒔こう。


哀しみに暮れたあとにも、瑞々しく芽吹く種を。
心踊るときには、喜びの溢れるように萌える種を。

 


どうか そこが、いつまでも、あなたの愛する庭でありますように。

   

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