ハルと蜜柑
果物好きのハル、とりわけ
お気に入りなもののひとつが蜜柑です。
昨年の冬に初めて食べた以来すっかり夢中で、
旬の終わる今年の春先まで毎日のように食べ続けていました。
それからしばらくお預けと思いきや、
今時はハウス蜜柑なるものがあり、
夏場には、また早々に解禁となります。
そして初秋の頃からは早摘み蜜柑が登場し、
結局ほとんど一年中食べているのでないかという具合です。
つい先日は、ご近所の方からお庭に成った立派な蜜柑を
いただいたのですが、それもすぐにたいらげてしまいました。
バナナ然り、この時期には蜜柑も我が家には欠かせません。
所々青みがかった張りのある皮に指をかけて、えいと剥くと、
ほのかにもう香る匂いに、いつも二人して鼻をくんくんとさせてしまいます。
この春まで、蜜柑の皮を剥くのは私の担当でした。
隣で待つハルは、はやる気持ちを抑えきれずに
そわそわと私の手元を覗き込んでいたものです。
中の薄皮を向き、あるいは筋をとって半分に割り、
そうしてひとつ、またひとつとお皿に並べていくのですが、
置いた傍から食べてしまう勢いのため、休む間がありません。
「よく噛んで、ゆっくり食べようね。
口の中ごっくんして、無くなったら次を食べてね。」
そう言うと、ハルは嬉しそうに「ないない!」と
大きな口を開いて見せてくれます。
それが、この夏からは、例の「あう( ハル )」で
自分と蜜柑とを交互に指差し、自分で皮を剥きたいと言い出したハル。
今では少々固いヘタのところ以外は、すっかり自分で剥けるようになりました。
早く早くと急かされながら薄皮を剥いていた
数ヶ月前を懐かしく思いだしながら、
このちいさな蜜柑ひとつにもハルの成長が見られることに、
とても頼もしいような心持ちになるのでした。
ちなみに、お食事用のエプロンは最近ちっともつけてくれません。
皆さん、どうしていらっしゃるのでしょう。
エプロンをまたつけてもらえることを期待するか、
あるいは服を汚さず食べられるようになることを期待するか….。
いずれにしても、随分先の話になりそうです。