ハルの庭

三歳の娘との、毎日の暮らしを綴っています。

困ったときのバナナさん

 

食事を終えて、しばらくすると、

ハルが私の手を引いて「あっち!あっち!」と台所を指差します。

食べ物の在り処へのお誘いです。

 

ハルくらいの月齢ではままあることのようですが、

一度にたくさんの量を食べられないため、日に幾度か間食が必要となり、

ことに少食のハルはすぐに小腹が空くので、頻繁におやつの催促があるのです。

 

あくまでも補助食という位置付けであること、

虫歯も心配であることから、

用意しているのは軽食か果物、お煎餅などですが、

やはりできれば食事をしっかりと摂ってほしいという思いもあり、

求めのある度に応えてよいのやら悩みます。

ただ、おやつなどを特にあげていなかったときでも、

とにかく食事量の少ないハルでしたので、

内容に気を配ってさえいれば食べてくれるだけ安心という気持ちにもなります。

 

実を言えば、私も子どもの時分は大変な少食かつ偏食でした。

食べたいと思えない量や美味しいと感じられないものを

無理矢理食べさせられることが不満で、給食には相当苦労をしました。

夫も身長の割りに痩せていて、義両親曰く、夫がハルくらいの頃は

一食終えるのに随分時間がかかったとのことですので、

これも遺伝に依るところがあるのかも知れません。

ハルのすこやかな成長を願えば、なるべく色々の栄養を

摂ってもらいたいところですが、少なくとも外見上ほぼ夫のハルは、

体質も夫に似ている可能性が高いように思われます。

そうなると、これはいよいよいやむを得ないことなのかもわかりません。

 

そんな私たちの救世主こそ、困ったときのバナナさんです。

基本的にはお煎餅を欲しがることの多いハルですが、

何かないかと訴えるきりのときは、

積極的にバナナを提案するようにしています。

以前は、まずはおにぎりを食べてもらっていたのですが、

ここしばらく「ないない」と断られてしまうため、

いよいよバナナの有り難みが増しています。

 

お手軽、お手頃で、栄養豊富なバナナ。

少食のハルならば、半分くらいでも食べてくれればひとまず安心です。

私が子どもの頃は、その甘さから、むしろ距離を置いていたくらいですが、

ハルはときに食事代わりのようにバナナを食べることもあり、

もはや欠かすことのできない存在なのです。

 

今では、大好きな映画『おもひでぽろぽろ』で

主人公のタエ子ちゃんが話していたように、

「果物の王様は…果物の王様は……。」

「バナナだった。」

というふうです。

 

食事をバナナだけで済ませてしまうことは、

お米文化をこよなく愛する私としてはいささか抵抗を感じるのですが、

それでもハルの健康に勝るものはありません。

世界にはバナナを主食とする地域もあるわけですから、

成長過程でほんの一寸の間こんな時期があっても構わないと考えるようにしています。

 

ハルのすこやかな成長が何より大切。

素直に頼ろう、困ったときのバナナさん。

私は、思い込みや妙なこだわりにとらわれて、

つい他がきちんと見えなくなってしまうきらいがあるため、

ここはひとつ、しみじみ感謝をしながら、お世話になることにしています。

 

 

 

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